料理が人の心の状態を表す時

心が病んでいた時の料理の味

昔から母は料理は得意だったのだと思います。

子供の頃から口にしているのでありがたみを感じることもなくそれがふつうとして食べておりましたが、体調を崩してあらためて母の手料理を食べた時にその味のありがたみがわかりました。

そしてわかったのは料理の味というのは同じ人が作ってもその時の、作る人の心の状態によって味が変わってくるという事を知りました。

昔、心が病んでいた時の母の料理はおおざっぱな物でした。鍋で一気につくるいわば男が酒を一緒に飲むときに食べるようなそんなものでした。

お酒に病んでしまっていた母は自然と作る料理もお酒を飲む人が好むようなそんな料理でした。鍋で一気につくる。味付けが濃いもの、食材の切り方ですとか煮方、焼き方すべてがおおざっぱな味付けと感じて私は正直あまり好きではありませんでした。
 

 

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自分で作ってみることを経験して

最近体調を崩すまで母の料理というのから遠ざかってしまっておりました。

今は外食でもなんでも美味しいと感じるもの、食をそそられるものはたくさんありますし、まあ料理が下手な私でも簡単なものでしたらそれなりの食事として成り立つものは食べれました。

しかし、ほんとに体の具体がおかしくなり、検査などするようになり食事を変えなければと思うようになりました。

血液の部分もそうですが切れ痔になってしまった時にお医者さんからもっと消化が良くなるもの、するっとでるような食事に切り替えないとこの先も治ることはないと言われました。根本的な部分を見直ししないといけないと言われました。

ちゃんとしっかり料理なんかしたことがないのでこれは困りました。

ただでさえ普段仕事で働いているので作る時間を割いてというのはかなり難しい状態でした。

ただ、体に悪いものを避けるようにすることで、自然と小食なってしまったりカロリーが低いもの、体に優しいものを食べ続けることになってしまいました。例えば納豆ご飯で済ましてしまうなど。

意図せずにダイエットのような感じになり体重も減ってしまったのだと思います。

体重が減ってさらに血液の病気の疑われはじめた時に母が手を貸してくれました。
 

 

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心が回復した母の料理の味

心が回復した母の味というのは少し表現が難しいのですが、子供のために本当に心配して作る料理は心がこもっておりました。

下手なりに苦しんでいる私をみて、母は料理に手を貸してくれるようになりました。

血液の病気が疑われるいることは細かく話しておりません。ただ、なんとなくあまり良くないんだということはわかっているようです。

体重が落ちていることに心配してくれました。

ほとんどずっと作っていなかった料理を一生懸命ってくれました。

母の料理というのはこんなに美味しいものだったのかと。

私が昔感じたおおざっぱな味ではありませんでした。

野菜の切り方、入れる食材、煮方、焼き方、味のつけ方。

どれもが繊細で優しさに満ちた味でした。

 (ある日の食卓)

昔はこんなに手をかけて作ってくれることはありませんでした。

子供の頃からこんな物を食べていれたらなんて正直に思ってしましました。

私も一生懸命食べました。体重を戻すためにも。体の為にも。

ただ、体重を戻すだけでなく、ほんとうに美味しいのです。自然とするする体に入ってくるような料理でした。ひじきの煮物がこんなにもふんわりとした食感で優しい味だったなんてとはじめてしりました。添加物も少なく、安心して食べられる。しかも美味しい。私が一生懸命つくってもこんなに手間のかかった野菜の煮物などを作るのは正直むずかしいです。野菜などの本来の味をうまく活かして素材の味がきちんと伝わる。

今まで外食で満たしていた料理には感じられない味がありました。

心が気持ちがこもった味でした。

黙々と食べていてすこし涙ぐみました。

その味には私の体を心配してくれいることが十分に伝わってきました。

品も豊富に野菜とタンパク質のバランスも考えてくれているのが伝わってきました。

一生懸命食べる私の姿に喜んでいるようでした。

ご飯をつくる楽しみのようなものを思い出したかのようでした。

昔にしまっておいた和食の献立の本を良くながめるようになっておりました。

TVも点けずにに黙々と夕ご飯を食べる。

これはどういう風に味付けするとこうなるのか?何が入っているのかなどの会話をしながら食べる。

そんな時間が増えてきました。

今、母の心の状態は昔よりもずいぶん回復しました。料理の味もほんとうにかわりました。

昔から料理を作ることに関しては祖母からも怒られたことがないといっておりましたが、もともとセンスがあり、得意だったのだと思います。

ただそこに心が備わってなかったんだって。

体調を崩してしまいまいしがた、それでも、手間暇をかけて作った料理の本の味を知れただけでも幸福なのだと私は感じました。
 

 

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